浜辺に流れ着く漂着物に新たな見立てを加え、オリジナルのアートワークを作り出すユニット、オートゥルノトゥルス。昨年末、活動の地を淡路島から沖縄に移した彼らは、いまどのような景色を見ているのだろう。
大洋に面した海岸線には、流木、貝殻、サンゴといった自然物はもちろんのこと、ブイや魚網などの漁具、ペット飲料や洗剤ボトルなどのプラスチック容器といった人工物を含むさまざまな漂着物が流れ着く。こうした漂着物を拾い集めては、オリジナルの真鍮パーツと組み合わせ、美しいオブジェに仕立てていくオートゥルノトゥルスは、尾崎紅がデザインを考え、種村太樹が金工で仕上げていくアーティストユニットだ。
最初に収集を始めたのは、大学時代、沖縄を拠点にカヤックで全国を旅していた種村の方。浜に打ち上げられているさまざまな漂着物のなかでぱっと目に入ってくるものを、特に目的もなく拾い集めていたという。その頃、東京の美術大学に通っていた尾崎紅と出会い、尾崎が種村のコレクションを“新鮮なもの”に感じたところからクリエーションが始まる。

「一般には“海洋ごみ”と呼ばれる世の中には不必要なものなのに、まだ人の興味をくすぐる不思議な魅力がある。どのような経緯でこのような形になったのか。原型はどんな状態だったんだろう。どんどん頭のなかで想像が広がっていくんです」
そう語る種村に、尾崎も続く。
「海岸に漂着したものは、なにか生き物の最終形のようでありながら、見るものがそれぞれに自由な視線を投げかけることができる余地があるのが面白い。だからこそオブジェのデザインにも、鑑賞や飾り方を限定しないようなゆとりを残しているように思います」
金工で加えていく真ちゅうのパーツも、次第に明るい金色から赤みを帯びた深い茶色へと経年変化していく素材。オブジェとなってもなお移ろう姿を見て、目にする気持ちも日々揺れ動き、また新たな視線を投げかける。
昨年末には、8年を過ごした淡路島を離れ、沖縄県今帰仁村に移住した。
「淡路島にいたときは、大阪にも近いことから日本の都市から流れ着いたと思われるモノがたくさんありました。一方、外洋に面している沖縄の浜には、国内だけでなく遠い違う国から流れ着いたものもたくさんありますし、一度生命を終えた多様なサンゴも見られ、とにかくカラフルな印象です」
現在は壁や天井に固定するタイプのオブジェが創作のメインだが、今後は公共施設に置かれるような大型のものから、身につけられる小型のものまで、飾るという目的だけに限定されない新たな存在を目指したいと語る。
自由に波間を漂い、辿り着いた美しい何かを求めて、オートゥルノトゥルの2人は、今日も浜辺を歩き続ける。
