資生堂在籍時代から、自主的な活動を続けてきたグラフィックデザイナーの小林一毅。子育てを機に、平面から立体へと表現の領域を拡大した。
グラフィックデザイナー、小林一毅の躍動が止まらない。
資生堂クリエイティブ本部に在籍していた当初から、企業の仕事以外に自主制作として「平成話紺名紋帳」「Graffiti/Stickers」などを発表。パピエラボともコラボレーションを行うなど、自由な表現活動を行なっていたが、2020年に子どもが生まれたことで、暮らしに大きな変化が生まれた。
子育てを軸に、生活を充実させたいという思いを最優先に掲げながら、いかに仕事と自主創作、さらには自身の趣味や家族との時間をバランス良く保っていくか。そんな考えから、生まれたのが平面の感覚を立体に展開しながら、玩具の形にしていくという取り組みだった。


日頃、紙の上で展開している造形を立体に起こしたとき、いかなる新しい見え方が生まれるのか。手に触れたときどんな感触を味わうのか。子どもと時間を過ごすなかで、小林の想像はどんどん膨らんでいった。
日々の刺激や発見をクリエーションにこめながら、さまざまな形や色彩、素材、塗装を研究。また、アントニオ・ヴィターリやエンツォ・マーリが手がけた名作おもちゃなども観察しながら、年代を問わず、大人も子どもも楽しむことができる小林らしい造形美に富んだ積み木やチェスなどのアイテムが完成した。


こうして完成したシリーズ「Play Time」は、7月の金沢の「TORI」を皮切りに、今後展覧会として大阪、東京を巡回。無垢な気持ちで、クリエイティブな玩具に一度触れてほしい。