昨年末から千葉市立美術館がスタートし、来場者も制作に参加・体験することで話題を呼んでいる「つくりかけラボ」。その第4弾を、アーティスト飯川雄大が担当する。

アーティストの滞在制作を含む千葉市美術館のアートプログラム「つくりかけラボ」。本プロジェクトが目指しているのは、来場者が作家とともに制作したり、連続してワークショップを体験できること。美術が特別な才能を持つ人に許された存在ではなく、誰しもが感覚を共有し、楽しめるものであることを理解できるとして、話題を呼んでいる。
昨年の開始から、これまで遠藤幹子、志村信裕、武藤亜希子といった気鋭の美術家が参加したこの実験的なプロジェクト。その第4弾を、兵庫県出身のアーティスト、飯川雄大が担当する。
飯川は、日常の中で見落とされてきた普遍的な事象、そこに投げかけられる人間のあいまいで不確かな意識にフォーカス。鑑賞者が自身の身体を通じて、その不思議な現象に自ら気づく、ユーモアに満ちたインスタレーションなどを手がけ、「六本木クロッシング」(2019年)やヨコハマトリエンナーレ(2020年)といった大規模展覧会にも参加してきた。
今回の「つくりかけラボ04」では、天敵から身を守るために身の回りのものを隠れ蓑にしていく蟹「デコレータークラブ」に発想を得たプランを展開。蟹がプロテクターとして装備するものを人はデコレーションと捉えるように、一方向のコミュニケーションから起こる感覚のズレ、そこから生まれる新しい感覚を来場者とともに考えてゆく。

並木クリニック中庭の展示風景(2020)、横浜市金沢区並木団地|撮影: 阪中隆文

ヨコハマトリエンナーレ2020、プロット48の展示風景|撮影: 飯川雄大

ヨコハマトリエンナーレ2020、プロット48の展示風景|撮影: 大塚敬太 写真提供:横浜トリエンナーレ組織委員会