Reframe Labが目指すもの。

BaBaBaで開催中の「もるめたも展─あそびとへんしんの研究所」を企画したReframe Lab。アートを軸に教育の可能性を引き出そうとさまざまに取り組む彼らが考えていることとは。

いまいちど、子どもの目の前に広がる世界を大きく捉え、自由な想像力がいかに人の豊かさや未来の可能性を広げるか。そんな思いを胸に活動を続けているのがReframe Labだ。

誰でも子どもの頃はたくさんの夢を思い描き、世界を希望と可能性に満ちたものだと信じていた。しかし、成長とともにいつのまにか社会の枠組みに囚われ、がまんをしたり、制限を感じたりしながら生きている。

Reframe Labは、精神科医、キュレーター、教育関係者など、各分野の専門家たちが集まり、アートを軸とした展覧会やワークショップ、勉強会などを開催しているのだが、なぜアートをフックにするのか。

「アーティストの目[mé]が、アートは『人間の感受性を肯定する装置』だと説明していたことが、強く印象に残っています。定義しきれない無限の広がりと可能性を持つアートに触れると、人が持つすべての感覚や感情が作用しはじめ、それぞれに異なる反応を示すもの。固定観念に縛られる以前の、ありのままの自分が現れるといっても良いかもしれません」

児童向けのプログラムが活動の中心だが、年代にかかわらず大人もいまの世界を捉え直せるような内容を考慮。息苦しさに満ち、価値観が凝り固まったってしまった社会に一石を投じようとしているとReframe Labの中心メンバーは語る。

方法論はシンプルで、視覚以外にも聴覚や触覚など、持てる五感を最大に活用し、自分の知覚センサーを解放する仕組みを考えていく。例えばそこでは「うるさくて静か」「長くて短い」など、両義的な意味を持つ感覚が生まれたり、一つの要素が次々に変化を繰り返し、体験する人や環境、時間によって異なる感覚・感情が続々と現れ、新しい発見と出合う。

Reframe Labが目指すところに、ゴールはない。あそびに夢中になって日が暮れていることにすら気づかないように、余計なものに邪魔されずにただ好きなものに没頭し、自ら深くに入り込んでいく感覚を育てたい。好きでい続けられることこそが、Reframe Labが考える「あそび」と「まなび」の意義であり、人の自然な姿なのだ。

  • Text: Hisashi Ikai
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