会期|2022年5月17日(火) – 5月31日(火)
※5月23日(月)休み
※5月21日(土)、22日(日)は写真家・三部正博氏とパピエラボ・江藤公昭氏、在廊予定
会場|BaBaBa 東京都新宿区下落合 2-5-15-1F
時間|12時 – 19時
BaBaBaでは写真家・三部正博氏と、「紙と紙にまつわること」をテーマに店、デザイン、印刷のディレクションなどを行うパピエラボによる展示『PRINT MATTERS 』 を開催いたします。
三部正博とパピエラボが数年に渡って共に取り組んでいるのが、三部が近年撮りためているランドスケープの写真を素材として、パピエラボが印刷物をデザイン、製作するプロジェクト。本展では、毎年ニューイヤーカードとして継続しているこの共作を発展させて、活版印刷、リソグラフ印刷、シルクスクリーン印刷による印刷物10点と、印刷物の素 材となった写真を含むクロモジェニックプリント10点を展示販売いたします。
日本国内で撮影されるランドスケープの連作を通して三部がとらえようとするのは、ありきたりな風景に潜む人間と自然の曖昧な境界の生々しさです。自然の中に垣間見る人為の跡や去った人間たちの残像。僅かな違和感を手掛かりに、両者の視点で連作をすべて見通し、像として写っているものと写っていないものの均衡を見極めながら、各印刷技術の特徴を踏まえて適した写真を厳選して、本展で発表する印刷物が製作されました。写真家としての立場から三部は、第三者であるパピエラボが自身の写真を印刷物に転換する過程で、単色での表現や紙の選択など、撮影者である自分が意図しない要素が加わることで、現像処理によって印画(PRINT)として可視化される写真とは異なるあり方が可能になることに興味があると言います。 両者がこのプロジェクトで目的とするのは、印刷のプロセス を経ることによって写真の見え方や在り様が変わる可能性、 また写真を素材にすることで印刷技術の潜在力を引き出せる可能性について、お互いの立場から考察することです。
写真が多くの場合に目的とする被写体の忠実な再現ではなく、 写真の諸要素を削ぎ落とし、被写体をあらわすのに不可欠な輪郭や色彩、質感、陰影のみを残してなお見える像を浮かび 上がらせる印刷物の面白みを追求しています。そうしたアプ ローチによって同時に、写真の中で像にはならずに漂っている気配を示すことができると考えています。内向的な欲求で 撮影された写真が「印刷」という手段によって解放され、紙という形態になることで展開が広がり得ることも、写真と印刷物の往来がもたらす産物だと期待します。