ボックスの中から外へ。BIG-GAMEの世界を眺める。

スイスのデザインスタジオ、BIG-GAME。設立から19年、これまでのデザインの系譜を辿る回顧展が、東京で始まった。

もともとスイスの美術学校、ECALの同級生だった3人が、卒業時にミラノで合同発表したことをきっかけにデザインユニットを結成。以降、順当にスターダムを駆け上がってきたBIG-GAME。

日常に馴染む実用的なかたちでありながら、軽やかで、好奇心にあふれ、どことなくチャーミング。新進のブランドのみながらず、長い歴史を誇る老舗との協働も可能にしている理由は、信頼を感じさせる着実さと愛着を感じる親しみやすさが同居する彼らのデザインアプローチにあるように思う。

そんなBIG-GAMEが国内初となる回顧展を、東京・西麻布で開催中だ。会場には、BIG-GAMEが辿ってきた道のりがわかる代表作がずらり。幅広いジャンルの作品群を一堂に紹介するにあたり、彼らは一辺が2m(1つのは1.8m)、高さ1,2mの巨大なボックスを用意。それぞれのなかに暮らしの様子を彷彿とさせるシーンを作り出し、来場者が360度さまざまな視点から、作品を覗き込むようなスタイルで鑑賞できるようにしている。

一方で、今年で10周年を迎えるKarimoku New Standardのコレクションを箱の外に展示。すべての作品が、昨年登場した新色、グレインパウダーホワイトに統一されているのも印象的だ。
このように箱の中と外で世界を分けたのは、Karimoku New Standardとそれ以外のブランドという区分けとともに、頭のなかに詰まったアイデアを外に取り出して新たな視点を与えてみるというコンセプトも隠されているようだ。

会場内では、BIG-GAMEのインタビュー映像が流れるほか、サイン入りのスツール《Castor Stool Plus》や重ね合わせて収納が可能な《Stacking Tray》といった限定品や、通常国内では入手できないBIG-GAME作品も販売されている。

Castor Stool Plus
Stacking Tray

展覧会情報
BIG-GAME:BOX展
2023年2月18日~3月25日 休:日曜、3/6、3/7
12時~18時 入場無料
展覧会キュレーション:David Glättli
Karimoku Commons Tokyo
東京都港区西麻布2-22-5
TEL. 03-6805-0655
https://commons.karimoku.com/

Text:Hisashi Ikai
Photo:Masaaki Inoue
[Instagram_@bouillonfoto
※最後2点のプロダクト写真除く

BIG-GAME|ビッグゲーム

オーギュスタン・スコットドゥ・マルタンヴィル(フランス)、エルリック・プティ(ベルギー)、グレゴワール・ジャモノ(スイス)の3名が、2004年スイス・ローザンヌで設立したデザインスタジオ。日用品のデザインを得意とし、家具、テーブルウェア、文房具などの多数手がける。アレッシィ、ヘイ、ムート、オピネルといったヨーロッパトップブランドのほか、2009年より日本の家具メーカー、Karimoku New Standardとの協働がコンスタントに続く。
http://big-game.ch

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