色彩表現を巧みに引用しながら、新たなクリエーションを手がけるSPREADが待望の個展が東京・青山のスパイラル・ガーデンではじまった。
2020年初頭からの蔓延したパンデミックは、世界を陰鬱なムードに包み込んだ。さまざまに制御、制限がかかるなか、クリエイティユニットのSPREAD(スプレッド)も、昨春に予定していた個展の開催延期を余儀なくされた。
「目に見えない大きなものが迫ってきて、肩に重くのしかかる。自ら行動を起こさなければ、どこかに押し流されてしまう気がした」
そう語る彼らは、待機が続くなかでも意欲的に創作を継続。半年遅れての開催となった展覧会『SPREAD by SPREAD 明日は何色?』がいまスパイラルガーデンで開催されている。
スペースの特性を存分に生かしながら、大胆な手法で鮮やかな色の世界を表現しているSPREAD。独創的な発想とともに注目したいのはそれぞれの作品に使っている素材だ。活版印刷の紙片、工業用メッシュ、アルミパネルなど、どれも身近な存在ながら、意識的には見ることのないものばかり。普遍的な素材が鮮やかな色をまとった瞬間に、人々の意識を瞬時に捉え、思考と感覚を刺激する存在へと変化していく。
既存の概念を解き放ち、新しい目線で世の中を見る。そんなきっかけにもなりそうな、自由で清々しい空気感に包まれた展示だ。