Drag Queen Story Hour Vol. 02

2022.08.28
7月末に開催されたドラァグクイーンの読み聞かせイベント「Drag Queen Story Hour」の第2回目を、夏休み終了間近の8月28日に開催。

近隣に住む子どもたちからの申し込みも多く、受付開始からあっという間に定員に達し、満席での開催となった。

第2回の読み聞かせクイーンは、オナン。人魚のような真っ青なスパンコールのドレスに、ゆったりとしたウェーブで大きく膨れ上がった真っ白な髪。大きな目と口に、子どもたちは釘付けになる。

オナンがこの日のためにセレクトしたのは『かお、かおどんなかお』『王さまと王さま』『ま、いっか!』の3冊。『かお、かおどんなかお』は、楽しい顔、悲しい顔、笑った顔、泣いた顔、いたずらな顔など、いろんな顔の表情を大胆にデフォルメして切り絵で表現した一冊。『王さまと王さま』は、タイトルの通り、ある国の王さまが、お姫さまではなくて王さまと出会って、幸せになるという人を愛することの大切さを語るお話。そして『ま、いっか!』は、どんなハプニングも「ま、いっか!」とやり過ごす、テキトーさんの物語。抑揚の効いたオナンの声が会場に響くなか、子どもたちからは自然と笑い声も漏れる。

前回同様、変身コーナーに移ると、子どもたちはさらに積極的になり、ポージングもばっちり。笑顔に満ちた1日となった。


協力

Draq Queen Story Hour TOKYO
http://dragqueenstoryhour.tokyo

日本児童教育専門学校
https://jje.ac.jp/

Drag Queen Story Hour Vol. 01

2022.07.31
LGBTQや多様性の意識はもとより、先入観や既成概念にとらわれず、子どもたちと自由な感性のふれあいを目指す。そんな目的をもってドラァグクイーンが子どもたちに絵本の読み聞かせを軸とする独自のプログラムを実施してきたのが「Drag Queen Story Hour」だ。

2015年にサンフランシスコでスタート、2018年からは日本でも展開していたこのスペシャルプログラムがBaBaBaで初の開催を迎えた。

およそ20名の子どもたちが待ち構えるなか、カラフルな衣装に身を包んだドラァグクイーン、ジャンジが歌いながら登場。大きな蝶々のように広がるドレス。高くそびえるピンクのウィッグ。オリジナリティあふれる装いを見た子どもたちの表情もすぐに緩みはじめる。

ジャンジが選んだ絵本は『はらぺこあおむし』『たまごちゃん、たびにでる』『It’s OK to be different』の3冊。特に多様性と寛容であることを主軸に捉えたトッド・パール著の『It’s OK to be different』では、ページをめくるごとに、「歯がなくたっていいじゃん」「違う肌の色でもいいじゃん」「髪がなくたっていいじゃん」とさまざまな違いについて認めながら、最後に繰り返される「OK~!」のフレーズに子どもたちが続く。

ジャンジ考案の体でコミュニケーションを図る「ハグ体操」も挟みながら、読み着替えせの後には、工作をしながら、自分の好きな姿になる変身コーナーがスタート。一人ひとりが、細かなこだわりを見せ、工作に熱心に取り組む様子が伺われた。

協力

Draq Queen Story Hour TOKYO
http://dragqueenstoryhour.tokyo

日本児童教育専門学校
https://jje.ac.jp/

Drag Queen Story Hourが
BaBaBaにやってくる!

3歳から8歳の子どもたちを対象に、ドラァグクイーンが絵本の読み聞かせを行う「Drag Queen Story Hour」が、夏休み期間中の7月と8月に、BaBaBaでの連続開催。読み聞かせに加え、今回だけのスペシャルプログラムも行われる。

2015年にサンフランシスコでスタートし、2018年日本にも上陸した「Drag Queen Story Hour」。昨今話題のLGBTQや多様性の意識はもとより、何よりも先入観や既成概念にとらわれず、子どもたちと自由な感性のふれあいを目指して、ドラァグクイーンが絵本の読み聞かせを軸とした独自のプログラムを展開してきた。

これまで全国各地の児童館や美術館などで活動をしてきたDrag Queen Story Hourが、ついにBaBaBaにやってくる。従来のプログラムに加え、今回はスペシャル企画として、変身コーナーも登場。

簡単な工作をしながら、常識にとらわれず、思い通りの自分に変身する。ドラァグクイーンが色とりどりのドレスをきて、ちょっと派手なお化粧をして、自分の好きな姿でいるみたいに、色紙を切ってカラーネールにしてみたり、ビニール袋をマントやスカートにしてスーパーヒーロー/ヒロインになったり、画用紙で大きなツノをつくって怪獣やおばけになったり。

子どもたちだけでなく、このときは大人も一緒に変身を楽しみます。大好きな自分になったら、ドラァグクイーンや一緒にきた家族、友達との撮影タイム。

これまでの『もるめたも』展やひらのりょうのガスー展の開催時には、同じ通りにある保育園、幼稚園に通う生徒や、近隣のおとめ山公園に散歩に訪れた家族が立ち寄るBaBaBaが、地域交流や児童支援を考え、夏休み期間中の7月、8月に連続開催します。


7月31日のプログラム

読み聞かせクイーン:オナン

・絵本の読み聞かせ/3冊の絵本を、ドラァグクイーンが読み聞かせ。
・おはなし/絵本にまつわる話題を、子どもたちと一緒におしゃべり。
・変身コーナー/かんたんな工作で。自分の好きな姿に変身。
・撮影タイム/変身した姿で、ドラァグクイーンと一緒にパチリ。

  • Text: Hisashi Ikai

Drag Queen Story Hour in BaBaBa

828日(日曜)

開始:13時 終了:15時(予定)

*要予約

参加費:子ども(3歳~8歳)、および同伴者は無料。大人のみの参加は1,000円。

定員:子ども 20名(先着順)

予約:下記リンクからお申し込みください

協力:ドラァグクイーン・ストーリー・アワー東京、日本児童教育専門学校

 

https://service.underdesign.co.jp/drag-queen-story-hour-in-bababa

ドラァグクイーンの読み聞かせで生まれる、
自分と向き合う時間。
Drag Queen Story Hour

アンダーグラウンドカルチャーの象徴でありながら、いまではマスメディアで大活躍のドラァグクイーン。なかでも、子どもたちのために絵本を読み聞かせるイベント「Drag Queen Story Hour」が密かに話題となっている。その活動が目指すものとは。

ある日曜日の午後、子供を対象に「ドラァグクイーンが絵本の読み聞かせをする」と聞いた。“ドラァグクイーン”と“読み聞かせ”という、どことなくミスマッチな感覚と、なにか思いがけないことが起こりそうな予感を胸に会場へと向かった。

カツッ、カツッ、カツッ。20名のほどの参加者が待つ部屋にハイヒールを響かせながら入ってきたのは、全身に鳥の羽を纏ったドラァグクイーン、レイチェル・ダムール。わぁと声を上げながら拍手をする大人に対し、子どもたちの反応は、口をつぐんでじっと見つめるもの、顔をそむけて大人にしがみつくもの、ゲラゲラと笑い出すものとさまざまだ。

しかし、ひとたび読み聞かせが始まると、子どもたちはぐっと絵本の世界に集中。ドラァグクイーンと子どもたちのあいだで、ごく自然な会話のやりとりも行われる。

ドラァグクイーン・ストーリー・アワーは、アメリカ・サンフランシスコで2015年スタート。日本では東京チャプターが、自分らしい生き方、多様な性のあり方などもテーマに、2018年から独自のプログラムを展開している。3~8歳をメインターゲットとして「誰もが知っている人気本」「ドラァグクイーン自身が読みたい本」「多様性をテーマにした本」を毎回3冊セレクトし、各所で読み聞かせを行っている。

一般的な「読み聞かせ」は、知育やしつけを目的としたところも多いが、このドラァグクイーン・ストーリー・アワーは、子どもたちだけでなく、保護者や運営側など、関係するすべての人間がそれぞれに思考を深めるきっかけにもなっているとプログラム担当者は語る。

「育児経験のないLGBTQの人々と児童教育を考えたり、日常から少し外れたところで子どもとの時間を過ごす。そんななかで、子どもも大人もみんなが『自分らしさ』について考えているような気がしています」

男らしさ、女らしさ、大人らしさ、子供らしさ。そのものにふさわしい様子を表す「~らしさ」という表現も、突き詰めていくと、ときにあるべき姿を示す強制の言葉につながってしまう。

「人よりちょっと派手なメークをして、大きな衣装を着ているけれど、私は好きな格好をしているだけなの」。読み聞かせを担当したドラァグクイーンのレイチェル・ダムールがそう自己紹介した言葉には、常識の範疇では語り尽くせない超越したように見えるものにも、自然で普通の状態があることを教えてくれる。

「ドラァグクイーンと子どものやりとりを見て、日頃自分がいかに子どもを子どもっぽく、大袈裟に扱っているかに気づきました。読み聞かせも子育ても、型を気にすることなく、もっと自由にやっていいんじゃないかなと今は思っています」

イベント終了後、保護者の一人が話してくれたコメントがとても印象的だった。



協力:景丘の家 https://kageoka.com

  • カバー写真: 水戸芸術館で開催した際の様子。撮影:矢野津々美
  • 文・本文写真: 猪飼尚司
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