Dear Takamizawa House

2021.4.23−6.13
第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展の日本館展示と連動するかたちで展覧会を開催。2つのフェーズに分かれた企画を展開した。さらに、ウェビナーという形で、2つのトークショーを開催した。


Phase 01.
Eyes of Jan Vranovský

VBA日本館展示チームに同行し、VBA2020日本館のモチーフとなった「高見澤邸」が解体されていく様子をカメラに収めていった写真家/建築家のヤン・ヴラノブセキの写真作品を展示。3代にわたり家族が暮らした都内の民家の日常、思い、時間を独自の表現で捉えた。


Phase 02.
Models_Work in Progress

コロナ禍より、ヴェネチアの展示会場の施工・監理を遠隔で行うことになったVBA建築チーム。施工担当のTANKが東京で仕上げていくモックアップを、オンラインでイタリアとつなぎ、現地担当者に指示する様子を、BaBaBaの会場で中継。さらに5名の担当建築家(長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔)によるモックアップの一部も展示。ヴェネチア会場と同期しながら、展示物が随時追加されていった。


BaBaBa TALK #1

「“オフィス”とは何か。働く現場の空間の限界と可能性について考える」


BaBaBa TALK #2

「記録、解体、伝達、再構築、生成……建築以後。これからの建築が示す先にあるもの」

協力:ヤン・ブラノフセキ

門脇耕三/VBA2020 日本館キュレーター

長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔/VBA2020 日本館建築チーム

国際交流基金

https://www.vba2020.jp

BaBaBa TALK #02
with門脇耕三

Dear Takamizawa Houseの展示中に、会場で行ったオンライントークライブ「BaBaBa Channel」。第2回に登壇したのは、建築家でVBA2020日本館展示キュレーターを務めた門脇耕三だ。解体・再構築を通じて新たな建築の可能性を見出したVBA2020の展示だが、現代の建築はいまだに進化し続けているのだろうか?

VBA2020、そしてDear Takamizawa Houseを通じて見えてくる、建築の本質的な価値を話し合った。

  • Photo: Taro Ota

BaBaBa TALK #01 
with長坂 常

Dear Takamizawa Houseの展示中に、会場で行ったオンライントークライブ「BaBaBa Channel」。その一回目に登壇したのは、建築家の長坂常。働き方改革から、コロナ禍のリモートワークを経て、これからオフィスのニーズはどのようになっていくのか? 

過去に設計事務所を複合のコラボレーターとシェアし、「happa」として運営していた長坂常と、働くための空間の限界と可能性について聞いた。

  • Photo: Taro Ota

ファンダー越しに見る都市と建築。
Interview with Jan Vranovský

BaBaBaで開催中の「Dear Takamizawa House」にて、写真作品を展示しているヤン·ヴラノフセキ。チェコから日本に移り住み7年。彼はどのような感覚で日本の都市や建築を見続けてきたのだろう。

ハイパー・メタボライズなニッポン。

1986年にチェコで生まれ、2014年から東京に移住し、グラフィックデザイン、建築、写真と、領域を横断したクリエーションを行ってきたヤン・ブラノフセキ。日本の近·現代建築を愛し、憧れをもって来日した彼だが、現実東京の街は想像したものと大きく異なっていた。

「時代、様式に統一感がなくいろんなものが入り混じっているし、時間をかけて丁寧につくられたもののすぐ脇にプレハブのような簡易的につくられたものが並んだりと、短い周期で激しい変化を繰り返している。常態が存在しない街の様子には、逆に現実的な魅力があると思ったんです」

生まれ故郷の首都、プラハに代表されるように、中世から近代にかけて形成された旧市街を残す都市の美しさを認める一方で、それらはあまりにも“静的”なため、停滞しているように見えたり、人間味がないようにも感じると語る。

「日本の街は美しいと問われると、正直答えに困りますが、僕にとってはとにかくエネルギーに満ち溢れていて、まるで生命体のように躍動しているハイパー・メタボライズな場所。だからこそ僕はここにいて、クリエーションを続けてるんでしょう」

ヤン・ヴラノブセキ

VBA2020日本館展示チームの依頼を受け、撮影のために高見澤邸に足を踏み入れた瞬間、ヴラノフセキは、普通の日本家屋の内部にも都市と同じような生命の存在があることを確信した。

「世代をまたいで移り住み、幾度となく改修を重ねるなかで、さまざまな要素が一つの空間のなかに堆積していった。ファインダー越しに家のディテールを覗くたびに、その輪郭が浮き上がってくる。写真というある瞬間を捉えるメディアのなかに、時間の流れが自然と映り込むとても貴重な体験でした」

ヤン・ヴラノフセキの作品が、建築写真でありながら不思議な情感をもったように感じるのは、そこにこの世界に生きる人々の軌跡が映り込んでいるからなのかもしれない。

  • Text: Hisashi Ikai
  • Photo: Jan Vranovský

ヤン・ヴラノブセキ[Jan Vranovský]

1986年チェコ生まれ。プラハのカレル大学で日本学、リベレツ工科大学で建築学を学んだ後、2014年に来日。東京大学大学院建築学専攻で小渕祐介研究室に所属する。2019年自身のスタジオ、VVAAを設立。

https://www.vvaa-studio.com

Exhibition Vol.01
Dear Takamizawa House

2021年5月22日からスタートする第17回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展(以下VBA)。門脇耕三がキュレーションを務めるVBA日本館展示(主催:国際交流基金)では、高度なデータ解析と日本の現代建築&施工技術により、解体された木造民家から新たな建築の可能性を探り出している。本展「Dear Takamizawa House」では、そのモチーフとなった高見澤邸を2つのフェーズで独自の視点から切り取っていく。

Phase 01.
Eyes of Jan Vranovský

VBA日本館展示チームに同行する、高見澤邸が解体されていく様子をカメラに収めていった写真家/建築家のヤン・ヴラノブセキ。役割を終えた普通の日本家屋に、ヴラノブセキはなにものにも変えがたい美しさと情感を感じながら、シャッターを切っていた。3代の家族が暮らした日常の名残りが切り取られた、ヤン・ヴラノフブセキの写真には、建築プロジェクトの記録写真の領域を超えた、新たな美の世界が広がる。

Phase 02.
Models_Work in Progress

新型コロナの流行を受け、現地への渡航を取りやめた日本館チームは、日本館展示の施工監理を特別な形で遠隔から行うこととなった。施工担当のTANKが東京で仕上げていくモックアップを、オンラインでイタリアとつなぎ、現地担当者に指示。最新のネットワーキングがどこまで建築をサポートできるのかを同時に検証していく。BaBaBaの会場では、5名のVBA設計担当建築家(長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔)による提案を受け、TANKが製作したモックアップを展示。日本館の設営と同時進行するため、展示物は毎週追加されていく。

ヤン・ヴラノブセキ[Jan Vranovský]

1986年チェコ生まれ。プラハのカレル大学で日本学、リベレツ工科大学で建築学を学んだ後、2014年に来日。東京大学大学院建築学専攻で小渕祐介研究室に所属する。2019年自身のスタジオ、VVAAを設立。

https://www.vvaa-studio.com

ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展2021日本館展示

「ふるまいの連鎖:エレメントの軌跡」と題し、無名の昭和住宅を解体。建材をイタリアに運び、ビエンナーレ会期中に遠隔でイタリアの職人に施工方法を伝達しながら、別の建物として建て替えるプロジェクト。参加建築家に、長坂常、岩瀬諒子、木内俊克、砂山太一、元木大輔。キュレーションを門脇耕三が務める。

www.vba2020.jp

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