ボックスの中から外へ。BIG-GAMEの世界を眺める。

スイスのデザインスタジオ、BIG-GAME。設立から19年、これまでのデザインの系譜を辿る回顧展が、東京で始まった。

もともとスイスの美術学校、ECALの同級生だった3人が、卒業時にミラノで合同発表したことをきっかけにデザインユニットを結成。以降、順当にスターダムを駆け上がってきたBIG-GAME。

日常に馴染む実用的なかたちでありながら、軽やかで、好奇心にあふれ、どことなくチャーミング。新進のブランドのみながらず、長い歴史を誇る老舗との協働も可能にしている理由は、信頼を感じさせる着実さと愛着を感じる親しみやすさが同居する彼らのデザインアプローチにあるように思う。

そんなBIG-GAMEが国内初となる回顧展を、東京・西麻布で開催中だ。会場には、BIG-GAMEが辿ってきた道のりがわかる代表作がずらり。幅広いジャンルの作品群を一堂に紹介するにあたり、彼らは一辺が2m(1つのは1.8m)、高さ1,2mの巨大なボックスを用意。それぞれのなかに暮らしの様子を彷彿とさせるシーンを作り出し、来場者が360度さまざまな視点から、作品を覗き込むようなスタイルで鑑賞できるようにしている。

一方で、今年で10周年を迎えるKarimoku New Standardのコレクションを箱の外に展示。すべての作品が、昨年登場した新色、グレインパウダーホワイトに統一されているのも印象的だ。
このように箱の中と外で世界を分けたのは、Karimoku New Standardとそれ以外のブランドという区分けとともに、頭のなかに詰まったアイデアを外に取り出して新たな視点を与えてみるというコンセプトも隠されているようだ。

会場内では、BIG-GAMEのインタビュー映像が流れるほか、サイン入りのスツール《Castor Stool Plus》や重ね合わせて収納が可能な《Stacking Tray》といった限定品や、通常国内では入手できないBIG-GAME作品も販売されている。

Castor Stool Plus
Stacking Tray

展覧会情報
BIG-GAME:BOX展
2023年2月18日~3月25日 休:日曜、3/6、3/7
12時~18時 入場無料
展覧会キュレーション:David Glättli
Karimoku Commons Tokyo
東京都港区西麻布2-22-5
TEL. 03-6805-0655
https://commons.karimoku.com/

Text:Hisashi Ikai
Photo:Masaaki Inoue
[Instagram_@bouillonfoto
※最後2点のプロダクト写真除く

BIG-GAME|ビッグゲーム

オーギュスタン・スコットドゥ・マルタンヴィル(フランス)、エルリック・プティ(ベルギー)、グレゴワール・ジャモノ(スイス)の3名が、2004年スイス・ローザンヌで設立したデザインスタジオ。日用品のデザインを得意とし、家具、テーブルウェア、文房具などの多数手がける。アレッシィ、ヘイ、ムート、オピネルといったヨーロッパトップブランドのほか、2009年より日本の家具メーカー、Karimoku New Standardとの協働がコンスタントに続く。
http://big-game.ch

Hello! from Bob Foundationの中身

20年にわたる活動の軌跡を一堂に集めた「Hello! from Bob Foundation」。展示されたのは、なんと250点あまり。そのなかから代表的な作品を紹介する。

FIKA
ロンドンの美術大学時代の同級生、ハンナ・バーニングとのコラボーレション展示を東京・代官山で2006年に行った折、ハンナが住むスウェーデンの素材を何か用いて作品をつくりたいと考えたBob Foundationが手がけた「FIKA」。無意識のうちに使っている「生活用品」に焦点を当て、ハンドルやキャップ、注ぎ口などをつけることでパッケージをプロダクトとして意識させている。BaBaBaのために今回は新作を追加。スウェーデンのほか、イギリスやオランダからもアイテムを取り寄せた。


RING RING
Bob Foundation設立後、オフィシャルで発表した初のコレクション。コミュニケーションをテーマに2004年にスウェーデンで開催された「Tokyo Style in Stokholm」に参加に向けて、彼らが描いたのは、今では少し懐かしいぐるぐると巻かれた電話機のコード。複雑かつ自由に躍動するラインが、テキスタイルデザインとして展開した時にパターンの継ぎ目を曖昧にし、永遠につながる世界を見事に表現している。


STRING LOTTERY
「RING RING」と同時に、スウェーデンで発表した作品。コミュニケーションというテーマから設定から、「繋がる」「あみだくじ」と発想を転換。日本の屋台や駄菓子屋などに置かれていた“当てくじ”や“千本くじ”と呼ばれる「紐くじ」をオリジナルで開発。ひと昔前の日本の遊びながら、そこに生まれる楽しさややりとりは時間が経っても変わることなく、普遍的な感覚だと語る。


Mini
英国車、MINIの60周年記念イベントのアートディレクションを担当していた際に、プロモーションとして手がけたコラボレーションワーク。サインペインターのLetterboy、イラストレーターのJerry Ukaiと協働し、車のボディを彩っていった。文字(Letterboy)、イラスト(Jerry Ukai)、パターン(Bob Foundation)という同じように見えて異なるジャンルの才能がバランス良く協業することで、新しい表現を追求した。


Paper Theatre
「mt」のプロジェクトを手がけた際、どうすれば小さなサイズにマスキングテープに、来場者の意識がフォーカスするだろうか。考えた末に、辿りついたのが、劇場の舞台のなかにテープを置くことだった。白い紙に緞帳や袖幕をはじめ、クラシカルな舞台装飾装飾を描き、模型づくりの要領で組み立て、そのなかに光が集中するような仕組みを作り出した。


STOLE
Daily Bobというブランドから、これまで45cm角のハンカチを展開していたが、より大きな表現にトライしたいと、本展に向けてサイズ90×180cmのビックサイズストールをデザイン。特にモチーフを特定せず、自由に創作した一枚の絵画に見えるよう、そのときの感覚に任せて描いていた。最終的に「FEEEL」「SURVIVE」「WATCH」の3作を発表した。


WRAPPING PAPER
活動当初から手がけ、のちにブランドDaily Bobの定番商品となったラッピングペーパー。あまりにもプロの技がすごいために、日本ではプレゼントのラッピングを自ら行う人は少ない。「たとえリンゴ一つでも、可愛い包装紙に包んでプレゼントされたら、とても嬉しいはず」。そう話すBob Foundationは、気軽に楽しく使えるラッピングペーパーをデザインし続けている。


ROBERT
大きなプロダクトをつくりたいと考えていた2005年に手がけたコートハンガー。シャーロック・ホームズの小説のなかで、ホームズとワトソンが下宿先を管理する、ハドスン夫人が蝋人形を動かして家のなかに人がいるように見せるというストーリーにヒントを得て、機能的なホームプロダクトでありながら、防犯グッズとしても活用できるというユニークな発想を展開した。

  • Text: Hisashi Ikai

Bob Foundation|ボブファウンデーション

朝倉充展(みつのり)と洋美(ひろみ)の2人によるクリエイティブグループ。ともにイギリスのCentral Saint Martins College of Art & Design 卒業し、2002 年Bob Foundation設立。旺盛な好奇心で次々に新たな題材を発見。グラフィックデザイン、イラストレーション、映像、プロダクトと領域をまたぎながら、自由なかたちでクリエーションを手がける。近年は、充展がバイヤーの大澤満美子とともにオンライン雑貨ショップ「Lilla Bäcken(リッラベッケン)を運営。洋美は編集者の阿部太一とともにクルマユニット「HIROO REDSOX」を立ち上げ、さらに活動の幅を拡大している。
https://www.bobfoundation.com

心揺れ動く、色のふしぎ。
──SPREAD

目の前に広がる、鮮やかな多彩色。独自の手法で色の魅力と可能性引き出していくSPREAD。色にこだわり、創作を続ける理由を聞いた。

SPREADの展覧会場にひょっこりとやってきた小学3年生くらいの男の子は、場内に足を踏み入れるやいなや、作品に向かって一目散に走り出した。その様子を見たSPREADの小林弘和がつぶやく。

「色に触れると、頭でいろいろ考えて判断せずとも、心や体に一気にスイッチが入る。色には、言葉ではうまく説明できない、自然な反射、反応を起こす力があるんですよね」

暖色系は心を高揚させ、寒色系は逆に鎮静効果がある。そんな色彩心理学の鉄則もあるが、どうして人は赤い色を見ると興奮を覚えるのか。色が交感神経に刺激を与え、血圧や体温を上げるという研究発表はあるが、なぜ刺激を受けるかは定かではない。

「文献を調べながら、動物の体を開いたときに見える血の色が関係しているんじゃないかなどと、仮説を立ててみたりもするのですが、結局のところよくわからない。色の組み合わせや構成によってどんな反応が起こるのか。それを知るには、多様なアングルからクリエイションをしてみて、自分たちで確かめてみるしかないんです」

SPREADの山田春奈と小林弘和が色によるクリエーションをはじめたのは、スタジオを設立した2004年のこと。1日の行動パターンを、「睡眠=ネイビー」「仕事=レッド」「食事=オレンジ」というように21色に置き換え、記録。この『Life Stripe』は、彼らが15年以上つづけているプロジェクトだ。

記録した「生活の模様」を、行動別で色に置き換えた〈Life Stripe〉。©Kai Hirata

「人の暮らし方、生活の記録を文字情報で読み解いくのは時間もかかり、少し難しいのですが、絵として表現されていれば感覚的に理解しやすい。人だけでなく、動物や昆虫なども観察対象にしてみると、特性もより顕著になり、それぞれが生きた事実を美しいかたちで表すことができるんです」

行動の違いを色で示したのは偶然だったと語る彼らだが、色に対する特別な感覚は、もしかしたら若いときに時を過ごした新潟のランドスケープに少なからず影響を受けているかもしれないと小林は話す。

「僕が生まれ育ったのは、新潟県長岡市から新潟市へと抜ける途中にある、山もなければ、棚田もない、ひたすら田園が続く真っ平な地形が続く平野地帯でした。地形の変化がない代わりに、四角い田んぼが色面になって、季節ごとに彩りを絶妙に変えていきます。田植え時期には水面に空を映して青緑になり、苗が育って緑がどんどん増し、稲穂が着くと金色に代わり、収穫を迎えると土色、そして雪が降り全面が真っ白になる。その景色を記憶にとどめる一方で、空と地面の2色しか存在しない風景に、斬新な色を差したくなる衝動を覚えることもありました」

雪に閉ざされる、景色に彩りがまったくなくなると、春を待ち侘びる気持ちとともに、色に対する強い欲望が脳内にどんどん溜まっていくこともあった。

東京・六本木の複合商業施設、東京ミッドタウンのクリスマスイベントで展開した〈Color Jungle〉。©Ooki Jingu
さまざまに彩色したスチール板を折り曲げ、色の奥に潜む光と闇のコントラストを探った作品〈観賞用コントラスト〉。©Ooki Jingu

「冬のあいだに春を待ち焦がれて、桜が咲く頃を思い描くと、いつのまにか頭のなかには蛍光ピンクの世界で満ち溢れている。でも、暖かくなって実際に花開く桜の花びらは、とても淡くてはかない薄紅色で、『あれ、こんなんだったっけ?』と拍子抜けしてしまうほど。知らずうちに、脳内ですごい変換が起きていたことにそのとき気づいたんです」

色は、光のかたまりのようになって脳内を駆け巡り、歓喜や希望を凝縮していく。色がもたらすとてつもないエネルギーをデザインの力で手繰り寄せながら、その先にある可能性をも追求。微細な色の違いを人がどのように捉え、意識を変化させているのか。SPREADの2人は化粧品の仕事を通じて、細やかな色のグラデーションの鍛錬を重ね、さらに色彩の解像度を高めていったと振り返る。

簡単に貼って剥がせるインテリア用の粘着テープを、メーカーとともに開発した〈HARU stuck-on design〉。©Ooki Jingu
金属加工の街として知られる新潟県の燕三条一帯の工場を一般公開するイベント「燕三条 工場の祭典」では、ピンクと白のストライプをグラフィックから会場デザインまで、統一して採用した。©Tsubame-Sanjo Factory Festival Committee/「燕三条 工場の祭典」実行委員会

2019年にジャパン・ハウス ロンドンで開催された展覧会〈Living Colours: かさねの森 染司よしおか〉で会場デザインを担当した折には、京都にある染工房を重ねて訪問。江戸時代から続く伝統の技で絹や麻、和紙などを美しく染め上げるために、さまざまな植物から多様な色が生まれる様子をつぶさに観察した。

「ありとあらゆる植物を大切に育て、採集して、叩いて潰し、時間をかけて煮出し、濾すことによって生まれる鮮やかな色は、まさに生命を凝縮した存在。だから人は色に触れるたびに、心を動かされるのかなとも思います」

色は単に視覚的に世界を彩るだけでなく、人の心を揺さぶり、内から込み上げる感情をリアルに体感させてくれる。SPREADのクリエーションの前に立つと、だんだん感覚が鋭くなり、心が豊かに広がっていくような感じがした。

Living Colours: Kasane – the Language of Japanese Colour Combinations” exhibition at Japan House London
「Dialogue 景色と対話する」をテーマに富山県立美術館で展示した〈Much Peace, Love and Joy〉(右)と〈Different Worlds〉(左)。©Junya Igarash
  • Text: Hisashi Ikai

SPREAD

小林弘和と山田春奈によるクリエイティブユニット。ともに長岡造形大学でデザインを学び、2004年にユニットを結成。主な仕事に「燕三条 工場の祭典」「HARU Stuck-on Design;」「国立新美術館10周年アートワーク」など。現在、35日まで富山県美術館開館で開催中の企画展「デザインスコープのぞく ふしぎ きづく ふしぎ」(https://tad-toyama.jp/exhibition-event/16596)に参加している。

http://www.spread-web.jp

子育てのなかで、進化するクリエーション。

グラフィックデザインの視点から、立体のおもちゃに挑戦した小林一毅。育児を通じて大きく変化した、働き方やデザインの考え方とは。

「昨年に第一子が誕生。子どものためにと、集めはじめたおもちゃが、生活のなかにどんどん増えていきました。そうしているうちに、おもちゃのかたちや役割に対して、僕自身が興味を持つようになり、あるとき『自分でつくったら、どんな風になるんだろう』なんて思って」

グラフィックデザイナーとして活動を続けてきた小林一毅は、もともと3Dには苦手意識があり、立体造形にトライするのは、大学時代につくった粘土作品以来のこと。

通常、プロダクトデザイナーや工業デザイナーが手がける分野の仕事かもしれないが、歴史を遡れば、フランスの絵本作家、トミー・ウンゲラーやグラフィックデザイナーの福田繁雄など、平面の表現を主体としながら、立体のおもちゃを手がけたクリエターは何人も存在する。

小林が幼い頃、父が作ってくれたというミニカー用のマップ。代を継いで、いまは自身の子供が一番遊んでいるおもちゃだとか。
1958年から手作りで木のおもちゃを作り続ける寺内貞夫の積み木の汽車。

「プロダクトデザイナーのように機能的なデザインをすることはできませんが、物事を単純化、抽象化しながら、情緒的な面白さを際立たせるのはグラフィックデザイナーが得意とするところ。形の豊かさや手触り、色彩に注力し、感覚的に気持ちが良く、子どもが大きくなってもずっと手元に置いておけるような存在を目指していきました」

スパイラルマーケットと共同でオリジナル商品「IKKI KOBAYASHI+S」を発表。クリスマスアイテムやラッピングも作成した。

小林は平面からの発想をもとに、シルエットに厚みを持たせていくような手法で独自の造形を展開。オーガニックな形をした色違いのブロックを重ね合わせた〈熊の積み木〉や、同形のように見える四角いキューブのエッジを微細に削り、多様な動物を表した積み木〈16 ANIMALI〉など、柔らかく小さな子どもの手にも優しい、滑らかな触り心地ながら、色や形から好奇心を掻き立て、それでいて大人が見ても魅力的な美しいアートオブジェのような存在のおもちゃが完成した。

おもちゃ開発のために参考にした絵本の数々。左からどナルド・クルーズの『Flyぎん』、トミー・アンゲラーの『すてきな三にんぐみ』、そしてイエラ・マリの『あかいふうせん』。

おもちゃのデザインだけでなく、小林にとっては子育ても初めての経験。毎日が新鮮な発見の連続であるとともに、クリアしなければならない課題も次々に現れる。

「こんな貴重な体験ができるのは、手のかかる今の時期だけ。少し大きくなってくれば、すべての時間を子どもと一緒に過ごすこともできなくなる。だから家族と相談して、今だからこそできることに絞って生活することに決めました。美術大学でクラスを担当していることもあり、現在は週のうち、2日間だけをデザインする時間に充てています。」

あらゆるものに興味を抱き、予想できない反応を見せる子どもの成長とともに、自身の感覚も日々進化。制作の時間こそ減ったが、以前にもまして広い視野をもってクリエーションに没頭し、充実したアウトプットができていると実感している。

ウェブジャーナル「住む人」で週1回発表するオンライン展示「Forget me nots」のためのクリエーション。

「未来がある子どものことを考えていると、自分でつくったものも後世にきちんとしたかたちで残る、質の良いものにしていきたいと思えてくる。こうした気持ちが、ひいては子どもを取り巻く環境だけでなく、大人にも、そして社会全体に良い影響を与えていくんじゃないかと感じています」

  • Text: Hisashi Ikai
  • Photo: Kohei Yamamoto、Haruki Kodama

小林一毅[Ikki Kobayashi]

1992年滋賀県生まれ。2015年多摩美術大学グラフィックデザイン学科卒業。資生堂クリエイティブ本部を経て2019年に独立。東京TDC賞、JAGDA新人賞、日本パッケージデザイン大賞銀賞、Pentawards Silver受賞。

instagram :  @kobayashi.ikki

個展「YOICHIRO UCHIDA」

独自のタイポグラフィ表現で時代を切る内田洋一朗が、東京では3年半ぶりとなる個展をBaBaBaにて開催。キャンバスとシルクスクリーンなどの平面作品を発表する。

YOICHIRO UCHIDA

2022年12月10日(土)~12月18日(日)
12時~18時
会期中無休

気ままなクリエーションの軌跡。
──Hello! from Bob Foundation

朝倉充展&洋美によるクリエイティブグループ、Bob Foundationが、結成20周年を記念した企画展「Hello! from Bob Foundation」を開催する。

Bob Foundationの活動は、実に軽快で変幻自在だ。

正統派な広告やパッケージの仕事をしていたかと思えば、自身のプライベートブランドから日用品をプロデュース。イベントでウォールペインティングを行っていることもあれば、料理人としてフードイベントに参加することもある。

八面六臂のオールラウンドプレイヤーとも言えるが、当人たちと対面すると計画的にプロジェクトを進めているというよりも、折々の出会いや状況を大切にしながら、直感的に物事を判断。感性の赴くままのクリエーションをしているように感じられる。

こうして生まれるBob Foundation表現の数々は、どれも明るく開放的な空気に満ち溢れている。プレイフルなモチーフ、心躍る色彩、伸びやかなラインから繰り出される彼らのメッセージは常にポジティブで、見るものの心をぱっと照らし、解きほぐし、やさしくつないでいく。

本展では、Bob Foundationが辿ってきた20年の活動の軌跡を紐解く代表作のほか、MINI Japan60周年の折にJerry Ukai、LetterboyとともにペインティングしたMINIの実車も展示。関わりを持つ「DAILY BOB」「Lilla Bäcken」「HIROO REDSOX」といったプロダクトの販売も行う。さらに会期中には、持ち寄りのアイテムにシルクスクリーンを施すサビースほか、週末や祝日には、親交のあるクリエイター仲間によるポップアップイベントや親子向けのワークショップなどのイベントも多数開催する。

彼らの気ままな発想で、会期中にまた新しいプロジェクトが誕生するかも。そんな期待すら抱いてしまう、楽しいイベントがまもなくスタートする。

イベント情報 
⚫︎シルクスクリーンサービス
ボブファウンデーションが手がけたグラフィックを、ご持参のアイテムにその場で印刷します。
会期中の木~日曜日、Bob Foundation 在廊時
料金:1500円

⚫︎トークイベント
11月19日(土)19時~
BaBaBa展示会場内&インスタライブ
聞き手:柴田隆寛(編集者)

⚫︎タコスショップみよし屋 ポップアップスタンド
11月19日(土)、20(日)、23日(水・祝) 12時~

⚫︎MIYOSHIYA飯店 ポップアップスタンド
11月26日(土) 12時~

⚫︎工作絵本「こうさくのえほんさん」発売記念 ワークショップ
11月26日(土)、27日(日)
13時~、14時~、15時~
各回定員5名、所要時間30分
価格:1500 円

*事前予約制
info@bababa.jpにてメールで受付。

*ポップアップイベントやワークショップの詳細は、下記SNSにて随時情報を更新いたします。
Instagram https://www.instagram.com/bababa_jpn/
Twitter https://twitter.com/bababa_jpn

展覧会情報
Hello! from Bob Foundation
2022年11月19日(土)~11 月27日(日)
12時~19時 会期中無休 無料
協力:MINI Japan/株式会社成田商店/有限会社スコープ

Bob Foundation|ボブファウンデーション

朝倉充展(みつのり)と洋美(ひろみ)の2人によるクリエイティブグループ。ともにイギリスのCentral Saint Martins College of Art & Design 卒業し、2002 年Bob Foundation設立。旺盛な好奇心で次々に新たな題材を発見。グラフィックデザイン、イラストレーション、映像、プロダクトと領域をまたぎながら、自由なかたちでクリエーションを手がける。近年は、充展がバイヤーの大澤満美子とともにオンライン雑貨ショップ「Lilla Bäcken(リッラベッケン)を運営。洋美は編集者の阿部太一とともにクルマユニット「HIROO REDSOX」を立ち上げ、さらに活動の幅を拡大している。
https://www.bobfoundation.com

BaBaBa Archives

東京・高田馬場のケースタディスタジオ〈BaBaBa〉で、これまで行われた展覧会、イベントを掲載。詳細については各タイトルをクリックしてください。

2021

Apri
Dear Takamizawa House(4.23−6.13)

July
もるめたも展─あそびとへんしんの研究所(7.22−8.9)


October
EMARF でつくる新しい生業 – 自分を解放するものづくり(10.09-10.23)

November
コト/モノ /ヒトを染めに重ねる「金井工芸 分室」(11.28-12.12)

December
TENDO JAPANESE MODERN /80 PROJECT(12.16)

2022

January
唯言在中。(1.22-1.23)

February
happening. (02.11-02.13)

March
Rebuilding(03.04-03.13)

July
NyaboSsebo & nakaban Ponto Nodalリリースライブ(07.02

Drag Queen Story Hour Vol. 01(7.31)

August
Drag Queen Story Hour Vol. 02(08.28)

BaBaBa Summer Market(08.19-08.21)


長坂常が綴る、『半建築』という感覚。

建築と家具のあいだ、未完であること、見えない開発。建築家、長坂常が考える「半建築」の魅力と可能性とは。

歴史ある印刷工場の軌跡を残しつつ、通り大きく開かれたガラスのファサードや展示什器にも転用可能な可動式の壁で、空間の印象を大きく変えたBaBaBa。リアルとオンラインのはざまを行き来しながら、オルタナティブな活動を試みるBaBaBaの設計を担当したスキーマ建築計画の長坂常が、自身が唱える独自の建築哲学をまとめた著書『半建築』を刊行した。

建築家の書籍としては珍しく、図面や細かな設計に関する専門的な著述はなく、いかに自身の体験や感覚が関わった建築&デザインプロジェクトに反映されていたかを、等身大の言葉で表現。レゲエに傾倒した10代の記憶、大学からスキーマ設立に至るまでのエピソード、シェアオフィスHAPPAをつくりながら感じたことから始まり、代表的なプロジェクトの背景を紹介。現地で解体しながら無駄な要素を引き算していった初期の作品「sayama flat」から、複数の店舗を担当した「Blue Bottle Coffee」や「DESCENTE BLANC」。そして自ら古民家を買い取り、仲間と協力しながら改修、運営までに携わった最新作「LLOVE HOUSE ONOMICHI」に至るまで、25年あまりのキャリアを振り返りながら、一つひとつの物語を丁寧に語り紡いでいる。

「半建築」とは、実際に空間を使う生活者が自由に入り込むことができない、“余地のないキメ顔”の建築ではなく、“抜き差しなる関係”を受け入れるおおらかさを持つ存在。常に現場に赴き、自身の感性をフルに活かしながら、建築を取り巻くすべての要素をリアルに生かしていく長坂の姿勢が、いかに我々の日常を活気づけ、時代を更新しているかが、本著を通して見えてくる。

Musashino Art University No.16 Building, 2020 ©Kenta Hasegawa
DESCENTE BLANC Yokohama, 2017 ©Kenta Hasegawa
ColoRing, 2013 ©Takumi Ota
Sayama Flat, 2008 ©Takumi Ota
SENBAN/Salone del Mobile 2021 ©Schemata Architects
BaBaBa, 2021 ©Takumi Ota

『半建築』

著:長坂常

デザイン:長嶋りかこ+稲田浩之/village®︎

発行:フィルムアート社

四六判・並製、256ページ

2,640円

http://filmart.co.jp/books/architecture/nagasakajo/

長坂 常|ながさかじょう

スキーマ建築計画代表。1998年東京藝術大学卒業後、自身のスタジオを設立。家具から建築、そして町づくりまで、幅広いジャンルで活動。どのサイズにおいても「1分の1」を意識し、素材から探求し設計を行う。日常にあるもの、既存の環境のなかから新しい視点や価値観を見出し、「引き算」「誤用」「知の更新」「見えない開発」「半建築」など独特な考え方を提示し続けている。

「all is graphics」展 
KIGl、その成長の軌跡。

クリエイティブユニット〈KIGI〉が、設立から10年を記念し、これまでの活動と新作を発表する企画展「all is graphics」を開催する。

KIGIの活動領域は実に広い。

クリエイティブディレクターの宮田識が主宰を務める広告制作会社、DRAFTから独立。2012年にKIGIを立ち上げた植原亮輔と渡邉良重は、ともに前職からの広告やブランディングを中心としたグラフィックワークを軸に据えながらも、琵琶湖一帯の職人たちと協業した「KIKOF」、ファッションブランド「CACUMA」、ギャラリーショップ「OUR FAVORITE FHOP」、そして直近では、アイウエア「TWO FACE」など、次々に新しいプロジェクトを自らの手で立ち上げ、実現してきた。

さらには、研究の一環としてドローイング、写真、映像、オブジェ、インスタレーションなど、あらゆる領域に積極的にトライ。クレマチスの丘・ヴァンジ彫刻庭園美術館、宇都宮美術館での個展を開催した実績も持つ。

彼らの自由でバリエーションに富んだ表現は、まさに多様性が問われる現代に適した取り組みだとも言えるだろう。

本展では、これまでに手がけた代表的な作品を展示する一方で、彼らが軸とするグラフィック=視覚芸術がいかにほかの領域に影響を及ぼし、展開していくかの様子を探っていく。

渡邉良重のドローイングを元につくられたラグ「into the field」
信楽焼を現代的に展開したテーブルウェア「KIKOF」
植原亮輔のプライベートワーク「LIFEBLOOD」。
正面と側面からの見えがかりが変化する眼鏡「TWO FACE」は、2022年11月にローンチ予定。

all is graphics

11月10日(木)~11月27日(日)

11時~20 時(最終日は17日まで)無休

料金:500円(高校生以下無料)

ヒルサイドフォーラム(東京都渋谷区猿楽町18-8 ヒルサイドテラスF棟)

Tel. 03-5489-1267

 

●アーティストトーク

11月16日(水)

18時30分~20時

料金:500円

*Peatixにて要予約

 

●演奏会「時間の標本」

11月19日(土)

開場:15時30分 開演:16時

会場:ヒルサイドプラザ

出演:阿部海太郎(ピアノ)、小寺里枝、佐藤恵梨奈(ヴァイオリン)、春日井恵(ヴィオラ)、越川和音(チェロ)、本多啓佑(オーボエ)、中田小弥香(ファゴット)

料金:大人5,500 円、高校生以下2,500円

*オンライン(ZOOM)にて配信

*Peatixにて要予約

主催:株式会社キギ

協力:HILLSIDE TERRACE, CLUB HILLSIDE

BaBaBa Summer Market

2022.08.19-08.21
BaBaBaのウェブジャーナルの記事に取り上げた各方面のクリエイター。その実際の作品やプロダクトを高田馬場のスペースで期間限定のマーケットスタイルで紹介する「BaBaBa Market」。

8月第3週の週末、3日間を使った「BaBaBa Summer Market」には、総勢10組が参加。デザイナーの鈴木元は、食器と同じ素材を使った新作「Table Planter」などを展示。大阪を拠点に活躍する吉行良平は、ゆったりとした深みのあるカレー皿「d plate」のほか、自身のレーベル「Oy」のプロダクトを各種紹介した。

木工作家の鰤岡力也は、工房で製作したスタイリッシュなスツールとテーブルを、岡山のバッグブランド、BILAREは、丈夫な帆布をつかった定番の丸型トートシリーズを各自販売。

写真家の中川正子は、新作の写真集『An Ordinary Day』の発表に合わせ、オリジナルプリントも展示。刺繍アーティストのNutelは、丁寧に一つひとつ手で細かな刺繍を施した立体&平面作品で空間を彩った。

今年2月に開催した第一回目のマーケットで人気を博したTILE KIOSKと星佐和子は、新たにコレクションを追加して参加。そして、押し寿司のfufufuと、フラワーベースと生花のコラボレーションを楽しむLANDも加わり、

参加作家
吉行良平
Nutel 
中川正子
星佐和子
TILE KIOSK
鰤岡力也
鈴木元
BAILER
fuufuufuu
LAND

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